最後までお付き合い頂き、どうもありがとうございました。
 これにて「エンドレス・ティータイム」は終幕でございます。
 以下、長々と作品について語っていますので、そういったものが苦手でない方はお付き合いください。

 イメージしていた舞台は、18〜19世紀くらいの英国(範囲広っ)。自分の殻に閉じこもった少女の視点から、箱庭的な世界を描き出す…というのがこの作品のコンセプトでした。
 登場人物の外見に関する描写を少なくしたり、建物や風景に関する描写を乏しくしたり。フィーリアがあまり外界に関心を払っていなかったというのをそういう点から表現しようと思いました。逆に最後の方では、フィーリアに起こった心境の変化を、細かい風景描写などから表したつもりなんですが…力が及ばず、うまく試みを成功させることができなかった気もします。うーむ、精進せねば。
 コンセプトだけは他にも色々あったりします。例えば、この作品は「大人も読める中学生向け小説」にしよう、とか。本当に大人向けでこういうストーリーを書くと、ハーレクイーンみたいになりそうですしね。それが悪いっていう意味ではないですが、今回はもうちょっと(色々な意味で)シンプルな作品にしたかったもので。
 あとは、「コンパクトな作品にまとめる」こともコンセプトの一つでした。話の中で何か事件が起こって、それを解決する――とか、何か大きな目標があって、それを達成する――とかいったストーリーならコンパクトにまとめやすい気もするんですが、今回は人の気持ちだけがテーマになっていたので、短い中で気持ちの変遷をまとめるのが難しかったです。心を揺るがす劇的な事件を起こして急速にストーリーをエンディングに持っていく…というのは今回やりたくなかったですし。ただ、これもやっぱり唐突感が拭えてないのが…筆力不足の悲しいところです。
 キャラクターに関しては、全員ごく自然に登場してきた感じです。ストーリーはかなり考えましたけど、キャラは勝手に沸いて出た…というか(笑)もともと小さな話ですので、登場人物は絶対数人までにしよう、というのは決めていました。
 フィーリアは、あの口調が読んでくださる方に受け入れられるかがとにかく心配でした。意外に嫌われていないようなので本当にほっとしています。セルダンは、とても書きやすくて何かに悩んだ覚えがありません(笑)皆様には好かれず嫌われず、で主人公の相手役としては意外に地味だったのかもしれません。エルバートは存在意義が危ぶまれる去り方をしましたが、いつか二部が書きたくなるように…と思って微妙な役どころにとっておいたというのが実情です。ものすごい個人的な事情だな…。ベックフォードは、何のクセもない平坦な脇役にするつもりが、いつの間にかほんの少しクセのあるキャラになりました。結構気に入ってます。ステラは…最初意地悪な女として出てきましたが、フィーリアをいじめ抜くキャラにしようとして途中で方向転換した、というわけではなくて、最初からすぐに仲良くさせるつもりでいました。けど彼女も中途半端ですね。あと、フィーリアの母。話の冒頭から話題には上るものの、終盤まで登場しない。というわけで、私の中では結構重要キャラでした。どういう人物にしようか悩んだ唯一のキャラ(笑)かも。最初考えていたのと違って、ふんわりと優しげな感じと相成りました。
 この話の舞台は英国、と書きましたが、その割にはありえない部分が多々あると思います。少しは資料を調べもしたものの、「難しいことは考えず、書きたいように書いてしっかり完結させる」というのもコンセプトの一つでしたので(笑)かなり好き勝手書いてしまいました。いつか、細かいところまで当時の生活と合致している小説も書いてみたいです!そのためにはまず勉強から始めなくてはいけませんね。

 …本当に長々と語ってしまいました。
 このあとがきにまで付き合ってくださった方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございます。
 ひとまず終幕を迎えたこの作品ですが、「エンドレス」な余韻を味わっていただけたら、また、拙作ながらも楽しんでいただけたましたらこの上ない幸せです。

 2006.6.10 アスカ