最後までお付き合い頂き、どうもありがとうございました。
 これにて「道果ての向こうの光」は終幕でございます。
 以下、長々と語っていますので、そういったものが苦手でない方はお付き合いください。

 ……お、終わった……!
 まずはなによりも、そんな達成感と安堵感でいっぱいです。
 このあとがきを書いている今、若干手が震えています。
 それくらい、「道果て」は私にとって重要な作品となりました。もはや、単なるサイトの一作品という枠組みを完全に越えてしまったなあ、と。色々な意味で、本当に感慨深いです。

 始まりは、かなり気楽な気持ちで取りかかりました。サイトを開設するまできちんと物語を書き上げたことすらなかったので、まずは短めの、書きやすいお話をという感じで「エンドレス・ティータイム」そしてこの「道果ての向こうの光」のプロットを考えて。「エンドレス」はその目論見通りに仕上がりましたが、この「道果て」は……。
 そもそも、ここまでシリアス一直線の話にする予定ですらなかったです。自分が書いていて楽しいものを、というのは大前提として、読んで下さる方にも気軽に楽しんでもらいたかったので、ところどころコミカルなタッチを交えつつ進めていこうと、当初は考えていました。
 ですが、実際書き始めてみると、登場人物たちがどんどんシリアスな方へ突っ走っていくからびっくりしました。大まかなプロットしか決めていなかったせいか、かなり登場人物に引きずられて物語が展開してしまって。序盤はコミカルを取り入れようと何度かあがきましたが、やがて諦めました(笑)。もう、なるようになってくれ〜と。

 心配だったのは、これだけ重い物語になってしまって、読み手さんが楽しんで下さるかどうかという点に尽きました。生真面目な女の子が、生真面目な男の人を相手に、堅苦しく重苦しく進んでいく物語が果たして面白いものなのかどうか。私が読む立場だったら、付き合いきれないかもしれない……なんて思うとどんどん不安になってしまいまして。
 でも逆に、この作品を支えて下さったのが、まさにその読み手の皆さま方だったなと思います。思った以上に多くの方に読んで頂いて、メッセージを送って頂いて、五年に亘る期間をお付き合い頂いて。そう、この話、完結するまで五年もかかってしまってるんですよね。非常に申し訳ないです……。ですが、なんとか完結できたのは偏にそうした読み手の方の存在があってこそだと思います。絶対に、一人で書いていたら途中で投げ出していました。

 更に驚いたことに、ご縁あって、出版社の方からお声掛けまで頂いて。怪しい詐欺話だったらどうしようと不安を抱えて飛び込んだ出版の世界も、また素晴らしい方々に出会えるきっかけとなりました。
 熱意と優しさに溢れた編集者様に「道果て」を本にして頂けたことも、かけがえのない経験になったと思っています。そして、こうしたお話を頂けたのも、読み手の方々が「道果て」を出版社の方の目に届くところまで押し上げて下さったからですし。やっぱり、読み手の皆さまには感謝してもしきれないなあというお話に(笑)。

 登場人物たちにも随分と愛着があります。そりゃあ、五年も付き合っていればそうなるか。もっともっとキャラを掘り下げていきたかったという思いもありますが、いやはや、これ以上はいかんせん私の気力と体力が持ちそうにありませんでした。話の中に出てこないところでも、それぞれ色々元気にやっていることと思います。

 それでは、長々とした作者語りにお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
 サイト開設当初から読んで下さっていた方、最近一気に読み上げて下さった方、皆さま、本当にありがとうございました。何度お礼を申し上げても足りないくらいです。
 改めまして。
 皆様に支えられてのこの作品、少しでも楽しんで頂けたのならこの上ない幸せです。


 2011.10.2 アスカ